フェムケアが海外で当たり前な理由|フランスの習慣から学ぶ日常ケア

フェムケア

フランスの薬局には、デリケートゾーン専用ソープが洗顔料やボディソープと同じ棚に並んでいます。シンガポールのドラッグストアには、フェムゾーン用ソープだけを集めた専用コーナーがあり、台湾では、母親が初潮を迎えた娘にフェムケア専用ソープをプレゼントする習慣を持った家庭もあるほどです。

海外では、フェムケアは「特別なこと」ではなく、スキンケアやヘアケアと同じ「当たり前の日常習慣」として根づいています。

この記事では、フランスをはじめとする海外のフェムケア事情と、その背景にある文化・教育・医療の違いを解説します。

海外と日本、フェムケアへの意識はここが違う

欧米では、フェムケアは「自分を大切にする当然の習慣」として、日常に根づいています。背景にあるのは「生理もデリケートゾーンも隠すものではなく、自然な体の一部」という考え方で、SNSや広告でもオープンに語られます。

一方、日本では長く「恥ずかしいもの」とされてきたデリケートゾーンのケア。矢野経済研究所の2023年調査では、認知度の低さが明らかになっています。

「フェムテックという言葉の意味を知っているか」という設問に対し、「意味を知っている」と回答した女性の割合は7.1%。依然として認知度は1割に達していない。また、「(フェムテックという言葉を)知らない」という回答は76.4%と8割を切った。」

出典:矢野経済研究所|フェムケア&フェムテック(消費財・サービス)市場に関する消費者アンケート調査を実施(2023年)

ただし、日本でもここ数年で変化が起きています。矢野経済研究所は2025年の市場動向について次のように発表しています。

「2025年のフェムケア&フェムテック(消費財・サービス)市場は、前年比110.5%の888億6,000万円を見込む。アイテム・サービスのドラッグストア・バラエティーショップでの展開も強化され、流通チャネルは全国に広がりつつある。」

出典:矢野経済研究所|フェムケア&フェムテック(消費財・サービス)市場に関する調査を実施(2025年)

ドラッグストアでのフェムケア商品売り場の拡大や大手メーカーの参入も続いており、フェムケアへの意識は着実に高まっています。

日本 vs 海外のフェムケア意識・環境の違い

フランスのフェムケア事情:ビデ文化と専用ソープの歴史

フランスはフェムケア文化の発祥地ともいえる国です。ビデの普及と専用ソープの日常化という2つの軸が、フランスのフェムケア習慣を支えています。

ビデとは何か

ビデとは、バスルームに設置された便器のような形の洗浄器具で、主に排泄後や生理時にデリケートゾーンを水で洗浄するために使われます。フランスで誕生したのは1600年代とされており、マリー・アントワネットの時代には宮廷で使われていた記録も残っています。

フランスでは男性も女性もビデを使うものとされており、例えば朝起きたときや、お出かけ前にシャワーを浴びるので、夜はビデで局部を軽く洗ってから就寝、というふうに使用する人が多いとされています。フランスでは「トワレット・ド・シャ(猫の洗面)」という言葉があり、ビデで臀部や足をさっと洗うスタイルも広く知られています。

フランスの専用ソープ文化

フランスの薬局では、デリケートゾーン用のソープが多種類売られており、弱酸性の専用洗浄剤を使うことが習慣として定着しています。代表的なブランドとして「Rogé Cavaillès(ロジェ・カヴァイエ)」があり、皮膚科医や婦人科医との臨床試験を経て開発されたブランドとして知られています。

このように、フランスのフェムケア商品は皮膚科学・婦人科学と密接に結びついて発展してきた歴史があります。

フランスのフェムケア特徴:ビデの歴史的背景 / 専用ソープの薬局販売が当然 / 皮膚科・婦人科と連携した商品開発 / 男女問わずのケア文化

フランスだけじゃない:欧米・アジアの最新事情

フランス以外にも、フェムケアを日常習慣として取り入れている国は世界中にあります。国や文化によってアプローチは異なりますが、「自分の体を大切にする」という共通の考え方が根底にあります。

イタリア:法律でバスルームへのビデ設置を義務化

イタリアでは、法律でバスルームにビデを設置するよう義務付けています。ホテルのアメニティとしてデリケートゾーン専用ソープが当然のように置かれており、フェムケアが「備わっている設備」として完全に日常化しています。

イギリス:薬局の「フェミニンケア」コーナー

イギリスのファーマシー(薬局)には「ウーマンズヘルス(女性の健康)」と「フェミニンケア(女性のお手入れ)」という2つの専用コーナーが設けられており、デリケートゾーンのケア製品が当然のように並んでいます。

アメリカ:市場規模・商品バリエーションが世界最大

フェムテック分野においてアメリカが世界最大のシェアを誇り、世界のフェムテック企業全体の半数以上をアメリカの企業が占めているとされています。アメリカでは医療費が高いため、なるべく自分で健康を管理したいという意識が根強く、デリケートゾーン専用ソープのほか、フェミニンワイプ・フェミニンスプレーなどバリエーションも豊富です。

台湾・シンガポール:アジアで最も進んだフェムケア文化

台湾やシンガポールでは、フェムゾーン用のソープを使用する考えが根付いており、ドラッグストアにはフェムゾーン用ソープだけが並ぶ棚もあるほどです。台湾女性の40代以下の世代は、デリケートゾーンはデリケートゾーン専用のソープで洗うことを習慣化している人が多いといわれています。

なぜ海外ではフェムケアが当たり前になったのか:3つの理由

フェムケアが海外で当たり前になった背景には、文化や制度の違いだけでなく、教育・医療・社会的価値観という3つの要素が深く関わっています。

理由① 学校・家庭・医療の3方向からの教育

海外では、初潮を迎えるころに、学校や家庭でデリケートゾーンの教育がなされます。それから、母親が娘を婦人科に連れていき、ピルなどを通して女性ホルモンのケアが始まるのです。女性の健康にとって必要なこととして、学校・家庭・医療の3方向からのアプローチがあるので、デリケートゾーンのお手入れも10代から習慣化されます。フランスでは1998年に性教育が必修化されており、2001年には学校教育法に性教育が明記されています。

理由② 「かかりつけ婦人科」を持つ文化

海外では、特別なトラブルがなくても婦人科に定期的に通うことが一般的です。かかりつけの婦人科医に日常的なケア方法を相談したり、専用ソープを婦人科医から勧められたりする経験が積み重なることで、フェムケアが医療行為ではなく「日常の一部」として定着していきます。

理由③ 「エチケット」という価値観の定着

海外では、デリケートゾーンのケアを「エチケット」という意識でとらえる傾向が非常に高いといわれています。洗顔用・ボディ用・デリケートゾーン用でそれぞれソープを分けることが当たり前の習慣として根付いており、基本的な身だしなみのひとつとして社会に定着しています。

フランス流から学ぶ:日常に取り入れやすいケア習慣

フランスのフェムケア文化から学べることは多くあります。特別な道具や知識がなくても、今日からすぐに取り入れられる習慣を3つご紹介します。

① 専用ソープに切り替える

一般的なボディソープはアルカリ性のものが多く、デリケートゾーンの弱酸性のpHバランスを崩しやすいため、デリケートゾーン専用の弱酸性ソープを使うことが推奨されています。パーツごとに専用アイテムを使うという考え方を、まずデリケートゾーンから取り入れてみましょう。

② 携帯できるケアアイテムを活用する

フランスではハンドバッグに忍ばせて外出先でも使えるデオドランや洗浄液が広く流通しています。日本でもデリケートゾーン用のミストや拭き取りシートなど、外出先でのケアアイテムが増えています。蒸れが気になる季節や生理中など、必要なタイミングに合わせてポーチに入れておくだけで、ケアの意識が変わります。

③ 婦人科を「定期的に通う場所」へ

特別な症状がなくても婦人科で相談できる環境を持つことが、フェムケアを習慣化する大きな一歩です。おりものや生理サイクルの変化など、気になることがあれば早めに相談する習慣をつけてみましょう。

よくある疑問Q&A

フェムケアを始めようとするときによく浮かぶ疑問を3つまとめました。海外の事例もふまえながらお答えします。

Q. フェムケアは女性だけがするものですか?

フランスではビデを男性も女性も使うものとして文化が定着していたように、デリケートゾーンのケアは本来、性別にかかわらず体の清潔を保つための習慣です。現在では男性向けのフェムゾーンケアアイテムも海外では展開されており、より広義のウェルネスケアとして捉えられるようになってきています。

Q. デリケートゾーンは毎日専用ソープで洗う必要がある?

専用ソープを使って外陰部を1日1回やさしく洗うことが基本とされています。ただし、洗いすぎは逆効果で、膣の中(内部)は洗わないのが原則です。外陰部のみを泡立てた専用ソープで包み込むように洗い、ぬるま湯でしっかりすすぐのが正しい方法です。

Q. 日本でもフェムケアは広まってきている?

近年は確実に広まりつつあります。2025年の国内フェムケア&フェムテック市場は前年比110.5%の888億6,000万円を見込むとされており(矢野経済研究所調べ)、大手製薬・化粧品メーカーの参入やドラッグストアでの売り場拡大も続いています。

フェムケアアイテムの選び方

フェムケアアイテムはデリケートゾーン専用ソープ・吸水ショーツ・月経カップ・保湿オイル・乳酸菌サプリメントなど、幅広いカテゴリで展開されています。選ぶ際の基準として以下をご参照ください。

カテゴリ選ぶ際のポイント
専用ソープ弱酸性・低刺激・合成香料や強い界面活性剤を含まないもの。泡・ジェル・固形から肌に合うものを選ぶ
吸水ショーツコットン・シルク混・吸水速乾素材など通気性の高い素材。軽い尿もれや生理時にナプキン不要でサポートできるタイプも
月経カップ繰り返し使えるシリコン製。長期コスト・環境負荷を抑えたい方向き。サイズ・硬さは体質に合わせて選ぶ
保湿オイル・クリーム天然由来・低刺激のもの。乾燥・かゆみのケアに。デリケートゾーン専用を選ぶことで皮膚への相性が考慮されている
乳酸菌サプリ膣内フローラを内側からサポートする目的で取り入れる方が増えている。あくまで食品の一種であり、特定の効果を保証するものではない

「自分の体を大切にすること」は、世界の当たり前

フランスをはじめとする海外の国々でフェムケアが当たり前になったのは、学校で正しく教わり、母親から娘へと受け継がれ、かかりつけの婦人科医に相談しながら、日常の習慣として積み重ねてきたからです。

デリケートゾーンのケアは、顔や体と同じように「自分の体を大切にするための行為」のひとつです。まずは専用ソープひとつから、今日の自分へのちょっとした贈り物として始めてみてはいかがでしょうか。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療行為・診断・治療の代替となるものではありません。症状が続く場合や、気になることがある場合は、自己判断せず婦人科へご相談ください。

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